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米国特許法についていい本が出てますね。

山下弘綱著の“米国特許法-判例による米国特許法の解説”は、
判例を中心にロースクールで使うケースブックのような形式で書かれています。

米国特許法-判例による米国特許法の解説-米国特許法-判例による米国特許法の解説-
(2008/03/31)
山下 弘綱

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600ページを超える大著ですが
従来の米国特許法に関する本と違って
生の事件を中心に解説されています。

判例の引用も法律的な判断を示すいわゆる
ホールディングと呼ばれる部分だけでなく、
具体的な事案についても惜しみなく紙面が使われています。

英語の原文での判例の引用と日本語での対訳があり
より深い理解に役立ちます。

アメリカ法を熟知されているなぁ、と思います。

ドイツ系の流れを汲んだ日本の法体系の頭で考えると、
判例といっても規範定立の部分だけが重要で
後は数学の公式のように具体的な事案に当てはめれば結論が出ると
判例について簡単に考えてしまいます。

しかし、イギリス系の流れを汲んだ英米法では
その考え方は通用しません。

英米法の判例では、一般的な規範の定立よりも
具体的な事実を分析することに重きが置かれ
事実が違うので先例の規範は当てはまらない
という議論をすることが良くあります。

ドイツ系では、ズバッと先になんにでも
当てはまる“公式”を見つけて事件を
“計算問題”のように画一的に判断するのに対し、
英米系では、泥臭く個別に実験、実験を繰り返して
生の“データ”を取っていくような感じですねっ。

演繹的か、帰納的か。

まぁ、ドイツ系の考え方の方が効率的で予測性があります。
だから明治時代の日本人もドイツに倣ったのでしょう。

でも、一見非効率で予測不可能に見えるものの
英米法の方が社会の変化に柔軟に対応できそうですね。

とはいえ、グローバル化社会、
両法体系は相互に影響を受けていますので
より折衷的になっていくのでしょう。

日本の裁判官に聞いた話ですが、
日本の裁判実務では
判決は短ければ短いほどよしとされているそうです。

余計なことは書かず、法律の要件を満たす事実
(要件事実といいます)があるのかないのか。
要件事実あれば、法の定める効果あり(例えば損害賠償などの効果が発生)。
要件事実なければ、法の定める効果なし(原告敗訴)。
判決なんてこれだけだ、というのです。

きわめて数学的っ。

一方、英米法では
昔は裁判官がいちいち判決を読み上げていたこともあり
今でもスピーチ原稿のように名言が散りばめられていたりします。

日本では、刑事事件を除いて、
民事で判決が読み上げられることはありませんね。
判決言い渡し日に裁判所にいっても、
“主文、請求を棄却する。理由は省略する”
って1分ぐらいで終了しますから(笑)。

英米法は、事実を重要視するので
長々と事実に関する描写が続いて嫌になることもあります。
でも、100年前の事件でも何があって何が争点だったのか
ということがはっきりわかりますねぇ。

最高裁の判決なんて出るまでに
どれだけ弁護士費用を使ったのだろうとか、
なんで和解しなかったのだろうとか、
担当者は苦労しただろうなとか、
いろいろ判決の裏にある人々の生活に思いを馳せると
なかなかリアルに事件が頭の中に入ってきます。

下手な小説よりもよっぽど面白い。
事実は小説よりも奇なり、ということでしょうか。



判例とは何か。探し続ける駐在員にあたたかい応援をっ。



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